2014年10月 軍艦島炭鉱跡が「高島炭鉱跡」として国の史跡指定されました。これを受けて軍艦島を管理する長崎市より日本コンクリート工学会に対して、端島の構造物の補修・補強方法およびそれらの施工方法などに関する調査委託がありました。
その後、2015年7月に軍艦島はユネスコ世界文化遺産の構成要素として登録されました。(「明治日本の産業革命遺産である製鉄・製鋼、造船、石炭産業」)
同年、日本コンクリート工学会内に「危急存亡状態のコンクリート構造物対応委員会」(委員長:野口貴文東京大学教授)が設置され、補修方法の検討、健全性モニタリング等の実証実験が始まりました。
当社は、2025年4月よりJCI公募「軍艦島共通試験プロジェクト」において、選定12社の一つとして参加いたします。このプロジェクトは、文化遺産としての軍艦島を未来に残すための持続的な試験・調査・普及活動を目的としており、当社もその一翼を担います。
プロジェクトの概要
- 名称: 端島(軍艦島)における補修材の効果検証に関する共通試験
- 期間: 2016年11月~2026年10月予定。
- 主催: 日本コンクリート工学会 「供用不可まで劣化破損が進行したコンクリ-ト構造物の補修・補強工法に関する研究委員会」
- 目的: 軍艦島(端島)の文化的・技術的価値の検証および継承
当社の役割と貢献
当社は本プロジェクトにおいて、キクスイ化学工業のBR工法を用いてプロジェクトへ参加します。
BR工法とは、塩害や中性化、アルカリ骨材反応などによるコンクリート構造物の劣化を抑制し、損傷部分を補修する工法です。
キクスイ化学工業のBR-SS工法は、塩分吸着剤を配合したポリマーセメント系鉄筋防錆材「BR-SSペースト」と、断面修復材「BR-SSモルタル」を使用し、鉄筋の腐食抑制と構造物の保護を行います。
BR工法の概要
- 目 的
塩害、中性化、アルカリ骨材反応などによるコンクリート構造物の劣化を抑制し、損傷部分を補修する。 - 特 徴
塩分吸着剤を配合した材料を使用し、塩害による鉄筋の腐食を抑制する。断面修復材を使用し、損傷部分を補修する。
亜硝酸イオンを放出し、鉄筋の不動態被膜を再生させる。 - 工 法
BR-SS工法: 塩分吸着剤を配合したポリマーセメント系鉄筋防錆材「BR-SSペースト」と、断面修復材「BR-SSモルタル」を使用する。
キクスイBR工法: 経年劣化による損傷を抑制し、本来の機能を回復させる。
BR工法が適した建築構造物
海岸地域や凍結防止剤散布地域など、塩害による鉄筋腐食が発生しやすい場所のコンクリート構造物。
コンクリートの中性化による鉄筋腐食が発生しやすい場所のコンクリート構造物。
アルカリ骨材反応によるコンクリートの劣化が発生しやすい場所のコンクリート構造物。
BR工法のメリット
高い防錆効果: 塩分吸着剤が鉄筋腐食の原因となる塩化物イオンを吸着し、亜硝酸イオンを放出することで、鉄筋の腐食を抑制する。
長期的な保護: 断面修復材がコンクリート表面を保護し、劣化因子の侵入を防ぎます。
品質管理の容易さ: 一材の粉体で、水を加えるだけで使用できる。
BR工法は、鉄道総合技術研究所と旧日本道路公団試験研究所の共同開発によるSSI工法とも関連があり、BR錆補修工事では、錆の除去、酸化被膜の形成、保護、欠損部の補修などを行います。
関連リンク・参考資料
軍艦島について
JCI(日本コンクリート工学会)
公式サイト 委員会活動> 技術委員会所管の委員会> 各種専門委員会 内「危急存亡状態のコンクリート構造物対応委員会」
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